医療法人医誠会 医誠会病院消化器外科センター代表番号 06-6326-1121

消化管

消化管の悪性疾患

最新版の各種診療ガイドラインに準拠して治療をいたします(治療選択肢はいくつかあるものの、基本的には日本全国どこの病院でも同じ治療方針となります)。患者さんの背景、併存疾患、病状によりいくつかの選択肢を提示させていただき、患者さんと相談の上、最適と思われる治療をいたします。適応を見極めながら、消化器内科・内視鏡センターでの内視鏡的切除や低侵襲な腹腔鏡下手術を積極的に行い、根治度を損なわず、患者さんにとって優しい治療を心がけております。

食道がん

食道がんは男性に多く(男女比6:1)、年齢は60代、70代に好発します。危険因子は飲酒と喫煙です。(食道癌診断・治療ガイドライン2012年4月版 III.疫学・現況・危険因子より引用)
食道は頚部から胸部、腹部にかけて位置しており、早期から広範囲にリンパ節転移をきたす可能性が高く、PET-CTにて全身への転移の有無を検索し、治療方針を決定いたします。進行度(ステージ)によって、内視鏡的切除、外科的切除(開胸手術、胸腔鏡下手術)、化学療法、放射線療法を組み合わせて治療を行います。切除不能例で通過障害をきたしている患者さんには、食道ステント(金属製の筒状のもので腫瘍により狭くなっている部分を拡張・維持させます)の留置も行っております。
外科的切除の場合、頚部・胸部・腹部の3領域に手術操作がおよぶため、大きな手術となります。通常は開胸手術や小開胸併用下での胸腔鏡下手術が行われておりますが、当センターでは気胸(胸腔内に炭酸ガスを充満させ、術野を確保します)併用下に小開胸のしない左側臥位完全胸腔鏡下手術を導入しました。開胸しないため、呼吸器(肺)合併症が減り、患者さんにとってより低侵襲な治療が可能となりました(写真②)。食道切除後の再建臓器としては、過去に胃の手術をされていない場合、胃が使えます。胃を細長く管状に形成して(胃管)、食道の代わりとします。当センターでは腹腔鏡補助下に胃管再建術を行っています。胃が使えない場合には小腸や大腸を再建臓器として利用します。

写真② 当センターでの食道がんに対する左側臥位胸腔鏡下手術(VATS-E術中風景)

写真②は当センターでの胸部食道がんに対する胸腔鏡下手術(VATS-E)の術中風景です。左の写真のように手術体位は左側臥位を基本としております。右の写真のように胸腔鏡下手術では、肋間(肋骨と肋骨の間)へトロカールを留置し、開胸することなく、手術を行っています。

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胃がん・大腸がん(結腸がん、直腸がん)

部位別がん罹患数(2010年)で胃がんは男性1位、女性3位、大腸がんは男性3位、女性2位となっており、死亡数(2013年)でも胃がんは男性2位、女性3位、大腸がんは男性3位、女性1位と男女ともに無視できない病気です。(がん情報サービスganjoho.jp より引用)
胃がんも大腸がんも早期のものでは内視鏡的切除が可能ですが、内視鏡的切除の適応から外れた場合、基本的には外科的切除(開腹手術、腹腔鏡下手術)の適応となります。当センターでは根治性、安全性を最重視しつつ、胃がん、大腸がんにおきましても積極的に低侵襲な腹腔鏡下手術を導入し、標準術式として確立しております。全国的にもまだ腹部に5cm程度の小開腹創(胃がんであれば上腹部、大腸がんであれば下腹部)をおき、腹腔鏡補助下に手術を行っている病院が多い中、当センターでは5mmから1cm程度の傷と、お臍の傷だけで行う完全腹腔鏡下手術を標準としており、低侵襲な治療に努めております(写真③)。
進行度に応じて術前、術後の補助化学療法を行い、また根治切除不能例や再発症例に対しては化学療法(分子標的治療薬の併用)や放射線治療の併用療法等も診療ガイドラインに準拠して行っております。外来化学療法室も稼動しており現在多くの患者さんにご利用していただいております。
胃がんでは病変の局在(胃の入口;噴門に近いか出口;幽門に近いか)、進行度(ステージ)により、胃の切離範囲が決まります。胃が残る幽門側胃切除術、噴門側胃切除術や胃が残らない胃全摘術があります。GIST(間葉系腫瘍)などではその腫瘍部分だけをくり抜くような局所切除を行います。胃を切離したあとの再建方法(食べ物の通り道を作り直す)にはそのまま食道と残胃、残胃と十二指腸を吻合する方法や、小腸を利用する方法があります。当センターでは低侵襲な腹腔鏡下手術を積極的に行っておりますが、腫瘍が大きく、胃の外側(漿膜面)に露出している場合やリンパ節転移が高度な場合は開腹手術となります。
結腸がんではその腫瘍の局在とリンパ節郭清の範囲によって、回盲部切除術、右半結腸切除術、横行結腸切除術、左半結腸切除術、下行結腸切除術、S状結腸切除術等を行っています。低侵襲な腹腔鏡下手術を標準術式としております。従来腸閉塞を契機に見つかった場合、全身状態の悪い中、緊急手術(開腹手術)を行い、人工肛門造設が不可避でありました。当センターでは経肛門的イレウス管、大腸ステント等で腸管内減圧をはかり、可能な限り待機手術(腹腔鏡下手術)を行っております。それにより緊急手術のリスクや人工肛門造設を回避でき、術前にがんの進行度も正確に行うことができます。緊急手術でなければ、通常人工肛門となることはほとんどありません。
直腸がんでは根治性を担保しつつ、神経・機能温存、肛門温存に努めております。視野の狭い骨盤内での手術だからこそ、腹腔鏡下手術が有用であると考えています。従来直腸切断術(永久人工肛門)となっていたような下部直腸がんにおきましても、進行度に応じて超低位前方切除術や内肛門括約筋切除を伴う(ISR) 直腸切除術を行うことで、永久人工肛門造設を回避することができます。術前に放射線治療と化学療法を併用するような、集学的治療も行っております。

写真③ 当センターでの胃がんに対する胃全摘術後創の比較(左:完全腹腔鏡下手術、右:開腹下手術)

写真③は当センターでの胃がんに対する胃全摘術後創部を比較いたします。左の写真は完全腹腔鏡下手術後約4週間、右の写真は開腹下手術後約1年経過した手術創です。腹腔鏡下手術では術後4週間でもこのように傷は目立ちません。患者さんによりますが経過とともにさらに傷は分からなくなります。

【文責 消化器外科医長 石川 ・ 消化器外科医長 森】

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