医療法人医誠会 医誠会病院消化器外科センター代表番号 06-6326-1121

鼠径ヘルニアの治療

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアの位置

鼠径部ヘルニアは 「脱腸」とも呼ばれ、下腹部の足の付け根あたりがポッコリ膨らむ病気です。
お腹の筋肉の隙間からお腹の中の臓器(多くは腸管)が脱出し膨らみを作ります。放置するとだんだん大きくなり男性の場合は陰嚢(いんのう)まで膨らむことがあります。

原因
生まれつきの原因、加齢、お腹の筋肉のやせ、肥満、妊娠、お腹に力を入れる機会が多い人 等
→
↓
腸管等の脱出
(ヘルニア)

日本中で年間13-15万人程度の患者が治療を受けています。そのうち15歳以上の成人例はおよそ90%を占めています。
全体の80-90%程度が男性とされています。特に好発年齢は65-80歳の高齢者とされています。

なぜ治療が必要か?

ヘルニアは放っておくと、5%程度の確率で嵌頓,絞扼(カントン、コウヤク)という病態(脱出した腸が戻らなくなり、血流障害を来す)をひきおこすとされています。腸閉塞や腸管壊死の原因となり、緊急対応が必要となります。

鼠径部ヘルニアは80-90%程度が男性鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)の状態

治療法について

  • 治療には手術で孔を修復する必要があります。
  • 手術法には腹腔鏡下 又は 鼠経部切開法の2つの選択肢があります。
    (孔の修復には人工膜(メッシュシート))を用いるものと筋肉を縫合して孔を閉鎖するものがあります。)
  • 当院では腹腔鏡下手術を第一選択として採用しています。
    腹腔鏡下手術は鼠径部切開法に比べ術後の傷の痛みや慢性神経痛の発生頻度が少ないとされ、再発率等については同等とされています。
  • 手術は基本的に全身麻酔で、所要時間は片側で約1時間前後(麻酔時間等は除く)です。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(TAPP法)

1泊2日~短期入院で治療が可能です。

5-10mm程度の小さな穴を3か所あけてお腹の中をカメラで観察しながら、患部の治療を行います。

当センターでの腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(TAPP法)術後創部

当センターでの腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(TAPP法)術後創部

腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(TAPP法)手術イメージ

腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(TAPP法)
手術イメージ

腹腔鏡を用い、お腹の内側からヘルニアの孔を確認し、人工のメッシュで孔を修復します

腹腔鏡を用い、お腹の内側からヘルニアの孔を確認し、人工のメッシュで孔を修復します

人工膜(メッシュシート)

人工膜(メッシュシート)

※全身麻酔が必要です
※前立腺全摘や腹腔内に大きな癒着が想定される患者さんは適応外となることがあります

術後の経過

  • 術後4時間はベッド上安静、その後飲水と歩行が可能になります。
  • 食事は術翌朝又は術当日の夕から可能です。点滴は手術当日で終了します。
  • 順調な経過でも傷の痛みや軽度の熱発があります。都度、解熱鎮痛薬を処方します。
  • 手術翌日からシャワー浴が可能になります。
  • 退院は最短で手術翌日に可能です。

退院後の生活について

  • 軽作業や日常生活において体動の制限はありません。
    (自転車に乗るなどの腹圧をかける動作は術後1カ月ほどは禁止です。)
  • 食事制限等はありません。
  • 術後1-2週後、2-3か月後、6か月後に外来で傷の経過および再発の有無を確認します。
    ※各患者さんの状況に応じて変更となる場合があります。

合併症とその対処法

出血 術後早期に出血斑、血腫が出来ることがあります。
・・・自然吸収を待ちます。時に輸血や再手術を必要とすることがあります。
感染 術後5-7日後より、傷口に発赤・痛み・腫れといった症状を引き起こします。
・・・メッシュが感染している場合、再手術を要することがあります。
水腫 術後早期より鼠経部の皮下に水が溜まることがあります。(再発ではありません)
・・・自然吸収を待ちます。量が多い場合は穿刺排液を要します。
再発 術後数カ月よりメッシュと筋肉の隙間から再度ヘルニアが発生することがあります。
・・・再手術を要します。
慢性疼痛 陰嚢から太ももにかけてしびれや痛みが残る事があります。
・・・難治性であることがありますが、内服等でコントロールを試みます。

【文責 消化器外科医長 杉山】

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